対比

周りを太陽のように照らす人。
――俺は何も齎さない。
憧れる。さりげなく気遣いできるその人格。
――嫌になる。ひたすらに何もできないこの人格。
我慢を我慢と思わず、自分を表に出してなお好かれる。
――我慢に耐えられず、自分を表に出しては嫌われる。
残酷さと冷酷さを内包する優しさと暖かさ。
――自己欺瞞を内包する自己中心主義。
しかしその本質は善。悪を認識して憎めるその心こそが尊い。
――その本質は醜い。善も悪も解らず、嫌いなものをただ嫌う。
もし精神を視認できるとしたら、どれほど美しいのだろうか。
――精神が視認できたとしても、己が精神を写す鏡などない。
だから、その高潔な人格はとても好ましい。
――けれど、この人格は自己が故に嫌えない。